- 「口臭の原因は胃?」と思ったことはありませんか?
- 胃からくる口臭の種類と原因
- こんな症状があれば一度ご相談ください
- 胃が原因で口臭が起こるときに考えられる主な疾患
- ストレスでも?胃以外が原因の口臭
- 当院で行う検査
- 胃からくる口臭対策
- 胃の臭いを消す食べ物
「口臭の原因は胃?」と思ったことはありませんか?
ニンニクやアルコールなどを口にした後の口臭、起床直後・緊張した時・空腹時など唾液の分泌の減少によって起こる口臭については、一時的なものであり、基本的に病的な心配はありません。
ただ、常に口臭がしている気がする場合、歯科医院に行っても虫歯も歯周病もないといった場合には、胃など消化管の病気を疑う必要があります。
自分の口臭は、ご自身の鼻が慣れているため、なかなか気づけません。少しでもおかしいなと感じた時には、お早目に当院にご相談ください。
胃からくる口臭の種類と原因
「口臭の原因は胃かもしれない」と感じる方は多いですが、実際には胃から直接臭いが上がってくることは少なく、臭いの種類や仕組みによって、発生源や病気が推測できることがあります。
ここでは、患者様からよく聞かれる「胃からくる臭い」タイプ別の特徴をご紹介します。
酸っぱい臭い・ツンとした刺激臭
このタイプの臭いは、逆流性食道炎や胃酸過多の方によくみられます。胃酸や胃の内容物が食道を逆流してくることで、口の中に酢のような酸っぱい臭いや、ツンと鼻を突く刺激臭を感じることがあります。特に空腹時や横になったとき、また朝起きたときに強く感じられることが多く、ゲップや胸やけ、のどの違和感を伴う場合には、逆流性食道炎の可能性が考えられます。
腐った卵のようなニオイ(硫黄臭)
この臭いは、消化不良や慢性胃炎、ピロリ菌感染が原因で起こることがあります。胃の中で食べたものがうまく消化されずに発酵・腐敗することで、硫化水素と呼ばれるガスが発生し、それが呼気に混じって口臭となるのです。腐った卵や温泉のような硫黄臭を感じるのが特徴で、同時に胃もたれや食欲不振、みぞおちの不快感などがある場合は、胃の粘膜の炎症やピロリ菌の関与が疑われます。
ドブのような臭い・うんちのような臭い
「ドブ臭い」「うんちのような口臭」といった強い悪臭は、実は胃ではなく腸内環境の悪化が原因で起こることがあります。便秘や腸内の腐敗が進むと、悪臭成分(インドールやスカトールなど)が腸から吸収され、血液に乗って肺を通じて口から吐き出されることがあるのです。このような場合、排便が不規則だったり、お腹にガスがたまりやすいといった腸の不調を伴っていることが多く、胃が直接の原因ではないケースもあります。
鉄のようなニオイ・金属臭
まれに、鉄のような金属臭が口からすると感じることがあります。このような臭いは、胃潰瘍や胃がんなどで胃内に出血が起きている場合にみられることがあり、血液中の鉄分が原因となって発生すると考えられています。口臭に加えて胃痛や黒い便(黒色便)、体重減少などの症状がある場合は、消化管からの出血のサインかもしれません。早めの受診が重要です。
肺から出る体内由来の臭いも(血液経由)
「体の中から臭っている感じがする」「胃の奥から臭いが上がってくる」と感じる場合、実は肺を通じて体内のガスが口から排出されている可能性があります。腸内環境の悪化や便秘で発生したガス(インドールやスカトールなど)が血液に吸収され、肺から呼気として出ることがあります。
また、肝機能や腎機能の低下、糖尿病などでも、代謝異常による独特な臭い(アンモニア臭、甘酸っぱい臭いなど)が呼気に混じることがあります。この場合、胃には異常がなくても口臭が出るのが特徴です。
こんな症状があれば一度ご相談ください
口臭はデリケートな悩みであるため、なかなか人に相談しづらいものです。
ですが、次のような症状がある場合には、胃や消化管の不調が関係している可能性があります。

- 食後や空腹時に口臭が強くなる
- 胸やけ、胃もたれ、げっぷ、吐き気といった胃の不快感がある
- 口の中がすっぱい・苦い・ネバつく感じがある
- 人から口臭を指摘された、または自分で気になる
- こまめな歯みがきや口臭対策をしても改善しない
このような症状がある場合は、胃や食道の病気、ピロリ菌感染、腸内環境の乱れなどが関係しているかもしれません。
「胃が悪いのかも?」「何となくスッキリしない…」という段階でも、放置せずに一度検査を受けてみることをおすすめします。
胃が原因で口臭が起こるときに考えられる主な疾患
主に、以下のようなものが挙げられます。
逆流性食道炎
肥満などによる腹圧の上昇、加齢に伴う下部食道括約筋の緩み、暴飲暴食による胃酸の過剰な分泌等を原因として、胃酸が逆流し、食道粘膜で炎症が起こる病気です。胃酸の酸っぱいにおいが口臭として現れます。その他、胸やけ、ゲップ、呑酸、胃の不快感などの症状を伴います。
胃潰瘍
ピロリ菌感染や消炎鎮痛剤の内服、ストレスなどを原因として、胃の粘膜が深くえぐれる病気です。胃の痛みや胸やけ、ゲップ、食欲不振、口臭が強くなる等の症状が見られます。重症例では、吐血やタール便も見られます。
胃がん
ピロリ菌感染、塩分の摂り過ぎ、喫煙などを原因とするがんです。初期は無症状であるものの、進行すると胃痛や吐き気、胸やけ、食欲不振、体重減少、吐血、タール便、口臭といった症状が見られます。
ストレスでも?胃以外が原因の口臭
ストレスや自律神経の乱れ
強いストレスを感じると、自律神経の働きが乱れ、唾液の分泌が減ったり、胃腸の動きが悪くなったりします。
口の中が乾きやすくなったり、胃の不快感が続いたりすることで、間接的に口臭が強くなることがあります。
「気にしすぎかな」と我慢せず、お気軽にご相談ください。
口腔内のトラブル(歯周病・舌苔・虫歯など)
実際には口臭の原因の約8割が口の中にあると言われています。
歯周病、虫歯、舌の汚れ(舌苔)などがあると、細菌の繁殖によって強いニオイが生じます。
胃に異常がない場合は、歯科的なチェックも重要です。
鼻や喉の病気(副鼻腔炎・扁桃炎など)
鼻づまりや膿のたまった副鼻腔炎(蓄膿症)、膿栓ができやすい扁桃炎なども口臭の原因になることがあります。
とくに「ドブのような臭い」「生臭い感じがする」といった場合は、耳鼻科領域の病気が関係している可能性があります。
ダイエット臭
過度な食事制限、激しい運動によってエネルギーが不足すると、体内ではケトン体という物質が増えます。これにより、果物が発酵したような酸っぱいにおいの口臭がすることがあります。
代謝や全身の病気が関係していることも
糖尿病(ケトン臭)、肝機能障害(アンモニア臭)、腎機能障害(尿臭)など、全身の代謝異常が呼気に表れることもあります。
胃の不調とあわせて、体全体の状態をチェックすることが大切です。
当院で行う検査
当院では、「胃が原因かもしれない口臭」が気になる患者様に対して、丁寧な問診・診察を行い、必要に応じて以下のような検査を組み合わせて原因を調べます。
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)
胃の中を直接観察することで、慢性胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎などの病気がないかを確認できます。
ピロリ菌感染の有無もあわせてチェック可能です。
血液検査・腹部超音波検査
胃や肝臓、腎臓などの内臓機能を総合的に評価します。
糖尿病や肝機能異常など、口臭に関係する全身疾患が疑われる場合にも有効です。
検査結果をふまえて、胃酸を抑える薬や除菌治療、生活習慣の改善指導などを行い、根本からの改善を目指します。
「胃に異常がないか確認したい」「検査だけでも受けてみたい」といったご相談も歓迎しております。
お気軽にご来院ください。
胃からくる口臭対策
「口臭の原因は胃かな?」と感じた時、以下のような方法によって、口臭の改善を図ってみるのも良いでしょう。
ただし、すでに何らかの胃など消化管の病気を発症していることもあるため、口臭以外の症状が見られる場合には、ご自身で解決しようとせず、当院にご相談ください。
暴飲暴食を避け、胃酸の過剰な分泌を避ける
食べ過ぎ、早食い、脂っこいもの・刺激物・アルコール・カフェインの摂り過ぎは、胃酸の過剰な分泌を招きます。消化のしやすい胃を労わる食生活へと切り替えてみましょう。
善玉菌を増やす食事を摂り、腸内環境を整える
腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスの崩れが、口臭の原因になることもあるようです。
納豆・チーズ・ヨーグルト・味噌などの発酵食品、海藻類・きのこ類・イモ類・ごぼうなどの食物繊維・オリゴ糖を多く含む食品を摂ることで、腸内細菌叢のバランスを整える効果が期待できます。
適度な運動習慣を身につける
適度な運動は、胃腸への良い刺激となり、消化を助けたり、便通を改善する効果が期待できます。
軽いもので構いませんので、楽しみながらストレスも解消できる運動を継続的に行いましょう。
胃の臭いを消す食べ物
「胃が原因かもしれない口臭を少しでも和らげたい」と思ったとき、日常の食事を見直すことも大切なケアのひとつです。
口臭の直接的な治療には検査やお薬が必要ですが、次のような食べ物には胃腸の働きを整えたり、臭いの原因物質を抑える効果が期待できます。
ヨーグルト・発酵食品(腸内環境の改善)
腸内環境が悪化すると、ガスや有害物質が作られ、口臭につながることがあります。
ヨーグルト、味噌、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品は善玉菌を増やし、腸内バランスを整えるのに役立ちます。
緑茶・カテキンを含む飲み物(消臭・殺菌)
緑茶や紅茶に含まれるカテキンには消臭・抗菌作用があり、口の中の雑菌を抑えることで口臭を軽減する効果が期待できます。
ただし胃が弱い方は、濃い緑茶を空腹時に飲むのは避けましょう。
食物繊維の多い野菜・海藻類(便通改善)
便秘による腸内の腐敗臭は、血液を通じて肺から口に出ることもあります。
食物繊維が豊富な野菜・海藻・きのこ類を積極的に摂ることで、腸内のガスや臭いの発生を防げます。
パセリ・しそ・ミョウガなどの香味野菜(即効性あり)
パセリやしそ、ミョウガ、生姜などには消臭作用や胃の働きを助ける効果があり、食後の口臭を抑えるサポートになります。一時的な臭いが気になるときにもおすすめです。
水(唾液分泌と胃腸の洗浄)
意外と重要なのが水分補給です。水をこまめに飲むことで唾液の分泌が促され、口の中の乾燥を防いで雑菌の繁殖を抑えます。
また、胃の中の不要な物質を洗い流すことにもつながります。
これらの食品はあくまで補助的なケアです。
口臭の根本的な改善には、原因をきちんと見極めたうえでの治療や生活改善が必要です。
「胃の調子が悪い」「ニオイが気になる」など、少しでも不安があれば、お気軽に当院へご相談ください。