空腹時の「気持ち悪さ」とは?
「朝起きたときにムカムカする」「お腹がすくと吐き気がする」「食べると少し楽になる」――このような症状は、空腹時に感じる吐き気や胃の不快感として多くの患者様が訴えられるものです。
胃の中に食べ物がない状態でも、胃は消化の準備として胃酸を分泌しています。この空腹時の胃酸が胃の粘膜を刺激することで、不快感や吐き気が生じることがあります。特に、胃の粘膜が炎症を起こしていたり、逆流性食道炎やピロリ菌感染などの胃腸疾患がある場合には、空腹時に強く症状が出やすくなります。
また、空腹によって血糖値が急激に下がると、吐き気・めまい・冷や汗などの症状が出る「低血糖」状態になることもあります。
つまり、空腹時の気持ち悪さは、「胃の異常」だけでなく、「ホルモンバランス」や「自律神経の乱れ」、さらには「全身の疾患」が関係していることもあり、軽視せずに原因を調べることが大切です。
空腹時に気持ち悪くなる原因と疾患
空腹時に胃がムカムカする、吐き気がするといった場合には、以下のような原因や疾患が隠れていることがあります。
暴飲暴食による胃酸の過剰な分泌
食べ過ぎや早食い、脂っこいもの・刺激物・アルコール・カフェインの摂り過ぎは、胃酸の過剰な分泌を招き、胃の不快感の原因となります。胃酸が逆流し、胸やけやゲップといった症状が見られることもあります。
過度な食事制限による低血糖
空腹である状態が長時間におよぶと、低血糖になり、倦怠感や吐き気を感じることがあります。
自律神経のバランスの乱れ
不規則な生活、ストレス、睡眠不足などによって自律神経のバランスが乱れ、胃の働きの低下、胃の不快な症状を招くことがあります。
逆流性食道炎
胃酸や消化中の胃の内容物が逆流し、食道の粘膜が記事浸けられる病気です。胸やけや吐き気、のどの違和感、胃の不快感などの症状が見られます。症状は、空腹時、横になった時に悪化しやすい傾向があります。
機能性ディスペプシア
明確な器質的異常が見つからないのに、胃もたれや吐き気、早期飽満感といった症状が続く病気です。発症にはストレスが大きく影響していると言われています。ストレスを受けた時、空腹時に症状が悪化しやすい傾向があります。
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染、消炎鎮痛剤の内服などを原因として、胃や十二指腸の粘膜が深く傷つく病気です。胸やけやゲップ、胃痛、胃のムカムカ等の症状を伴います。重症例では、吐血やタール便も見られます。
胃がん
ピロリ菌感染、塩分の摂り過ぎ、喫煙などを原因として発症します。初期は症状が乏しいものの、進行すると胃痛や胃のムカムカ、胸やけ、食欲不振、体重減少、タール便などが見られるようになります。
このような症状があれば要注意
空腹時の気持ち悪さがあっても、一過性のものであり短期間で解消され、かつ繰り返さないようであれば、それほど心配はありません。
しかし、以下のような場合には、放置せずにお早目に当院を受診されることをおすすめします。

- 食べても解消されず、症状が慢性化している
- 食べることで症状が良くなるが、その後、空腹になるとまた気持ち悪くなる
- 胃痛、嘔吐、体重減少、発熱、息苦しさ、ふるえ、めまいなど他の症状を伴う
- 吐血した、タール便(黒い便)など血便が出た
- 便潜血検査で陽性だった
- 市販薬を飲んでも改善しない
当院で行う検査・診療
血液検査(肝機能・感染症・代謝評価)
肝臓に関する数値だけでなく、隠れた病気の兆候を見つける手がかりにもなります。
AST・ALT・γ-GTP・ALP・ビリルビン
肝細胞の炎症や胆道障害の有無を評価します
HBs抗原・HCV抗体
B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎をチェックします
空腹時血糖・HbA1c
糖尿病が関与していないかを調べます
脂質(中性脂肪・LDL・HDL)
脂肪肝や高脂血症の影響を確認します
甲状腺ホルモン(TSH・FT4)
代謝異常による脂肪肝リスクを評価します
自己免疫マーカー(ANA、IgGなど)
自己免疫性肝炎が疑われる場合に実施
腹部エコー検査(超音波)
肝臓の大きさや形、脂肪のたまり具合、腫瘍・胆石の有無などを確認します。
脂肪肝・NASH・胆道異常の発見にも有効です。
線維化評価
肝臓の硬さを測定することで、NASHや肝硬変の進行度を非侵襲的に評価できます。
当院では腹部エコーを基本に、必要に応じて専門医療機関への紹介も行います。
必要に応じてCT・MRIなどの画像検査
エコーで詳細が不明な場合や腫瘍性病変が疑われる場合には、さらに精密な画像診断を行うこともあります。
空腹時に気持ち悪い時の対処法
生活習慣を改善することが、肝臓の健康を守る上でとても大切になります。
また生活習慣病になってしまった場合も、しっかりとその治療を受け、非アルコール性脂肪性肝疾患などを予防しましょう。
食習慣の改善
食べ過ぎ、栄養の偏りなどがある場合には、改善しましょう。肝臓の働きを改善するのには、イカやタコに豊富に含まれるタウリンが有効です。
運動習慣の改善
激しい運動でなくて構いませんので、ウォーキング、軽いジョギング、ストレッチなど適度な運動を生活に取り入れましょう。レジスタンス運動(筋力トレーニング)で基礎代謝を高めることも、肝機能の改善に役立ちます。
睡眠の改善・ストレスの解消
肝臓は、自律神経によってコントロールされています。そして自律神経のバランスを整えるために大切なのが、質・量とも十分な睡眠と、ストレスの解消です。
空腹時の気持ち悪さが続く方はご相談ください
肝臓の数値が高いのは、生活習慣・代謝・ウイルス・免疫などさまざまな要因が関係しています。見逃さないためには、症状の有無にかかわらず、専門的な検査で原因を特定することが重要です。
大阪谷町よりおか内科・内視鏡クリニックでは、肝臓専門医によるきめ細やかな診療を行っております。お酒を飲まないのに肝臓の数値が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。